大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

鳥取地方裁判所 昭和63年(わ)2号 判決 1988年4月26日

本籍

鳥取県東伯郡大栄町大字東園四一三番地

住居

右同所

砂採取販売業

永田一郎

昭和一八年八月二六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官濱岡良二出席の上審理をとげ、つぎのとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年および罰金一五〇〇万円に処する。

被告人において右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、鳥取県東伯郡大栄町大字東園六三一番地一において、「永田商事」の名称で砂採取販売業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上金の一部を除外して簿外の預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五九年分の実際総所得金額が五六八一万五八二二円であったにもかかわらず、昭和六〇年三月一五日、同県倉吉市上井字外下河原五八七番一所在の倉吉税務署において、同税務署長に対し、同年分のみなし法人所得金額が九三九万二三四円、総所得金額が一九五八万五〇二五円で、これらに対する所得税額が合計四七九万一七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二三九六万九三〇〇円と右申告税額との差額一九一七万七六〇〇円を免れ

第二  昭和六〇年分の実際総所得金額が六一二二万八六七二円であったにもかかわらず、昭和六一年三月一五日、前記倉吉税務署において、同税務署長に対し、同年分のみなし法人所得税額が八一九万四三〇八円、総所得金額が一七六三万三六四〇円で、これらに対する所得税額が合計三四三万五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二六七七万五七〇〇円と右申告税額との差額二三三四万五二〇〇円を免れ

第三  昭和六一年分の実際総所得金額が五七八五万五四一六円であったにもかかわらず、昭和六二年三月五日、前記倉吉税務署において、同税務署長に対し、同年分のみなし法人損失額が四三〇万九六四九円、総所得金額が一三六七万七一八二円で、これらに対する所得税額から既に源泉徴収された税額を控除すると二一万二八二〇円が還付されることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二四五八万八八〇〇円と右申告税額との差額二四八〇万一六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書九通

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  左記の者の各大蔵事務官に対する質問てん末書

山本知一、山中孝敏、中西了介、米原政治、加藤洋子、山田節弘、田中比佐司、中原翠子、大田隆徳、原和好、井上利敬、山田達己、穐山誠、永田律子(四通)

一  永田律子の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の告発書

一  大蔵事務官各作成の左記書面

売上高調査書

調査事績報告書

雑収入調査書

仕入高調査書

経費調査書

貸倒引当金繰戻額調査書

貸倒引当金繰入額調査書

青色事業専従者給与額調査書

白色事業専従者控除調査書

事業主報酬調査書

みなし法人所得額調査書

利子所得調査書

配当所得調査書

給与所得調査書

源泉徴収税額調査書

一  鳥取地方検察庁検察官作成の昭和六三年一月二二日付同庁次席検事宛の捜査報告書三通

一  倉吉税務署長作成の所得税の青色申告の承認取消し通知書(倉所第一二二五号)の謄本

一  被告人作成の昭和五九、六〇、六一年分の所得税の各修正申告書の謄本

(法令の適用)

判示所為 第一ないし第三

いずれも所得税法二三八条(懲役刑と罰金刑を併科)

併合罪加重

懲役刑につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条

(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき同法四五条前段、四八条二項

労役場留置

罰金刑につき同法一八条

刑の執行猶予

懲役刑につき同法二五条一項

訴訟費用の負担

刑事訴訟法一八一条一項本文

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 相瑞一雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例